前回肩甲骨はがしについてのお話をしましたが、今回は肩甲骨周りの筋肉について解剖学的にお話していきたいと思います。
1.菱形筋
菱形筋は胸椎と肩甲骨をつなぐ筋肉であり、左右の肩甲骨を後ろで寄せる動きの際に働く筋肉です。
菱形筋がしっかりと働く事により肩甲骨同士が引き寄せられ、胸が張りやすくなります。
普段から姿勢が悪く胸を張る事が辛かったり、腕をしっかりと降って歩く事が出来ない人は菱形筋の柔軟性が低下してしまっていると考えられます。
長時間使っていない身体の部位・筋肉は使い方を忘れてしまい、自力で肩甲骨を動かそうとすると別の筋肉が動いてしまい、代償動作を起こす可能性があります。
肩甲骨をはがすことにより菱形筋の可動域や意識が変わりますので、肩甲骨を後ろへ引く動作が可能になり、胸を張りやすくいい姿勢を維持しやすくなります。
2.肩甲下筋
肩甲下筋とは、肩甲骨の裏面から上腕骨にかけて付着している筋肉であり、身体の表面から触れない位置にあります。
肩甲下筋は巻き肩の原因と考えられております。
腕を内側に巻き込むようなタイプの巻き肩は大胸筋などの大きな筋肉の影響が強いですが、大胸筋以外にも腕を巻き込むタイプは色々とあり、意外と背中からの影響が多いです。
特に肩甲下筋は普段肩甲骨に隠れていますので、アプローチしにくいです。
肩甲骨はがしなどで直接アプローチ吸うことがおすすめのポイントです。
普段デスクワークや肩甲骨の動きがない人ほど固まっています。
肩甲下筋が固まると腕を外へひねる動作がうまくいかなくなり、胸を開くための動作につながらず巻き肩猫背になります。
柔軟性を取り戻しておきたい大切な筋肉になりますね。
3.前鋸筋
前鋸筋は肩甲下筋と同じく肩甲骨の裏面から肋骨につながる筋肉です。
ノコギリの様にジグザグしているので「鋸」という感じが含まれております。
前鋸筋も先ほどの肩甲下筋と同じく肩甲骨を前へを引っ張ってしまう筋肉です。
肩甲骨の動きが悪く、背中と肩甲骨の隙間がない人は肩甲骨はがしだけでは前鋸筋はほぐれません。
あばら周辺の筋肉などをほぐした方がいい場合も多いです。
ただし、前鋸筋は肩甲骨の内側から始まっており、肩甲下筋と共に裏側にアプローチ出来れば良いかと思います。
肋間神経痛の痛みと勘違いされやすいですが、肋間神経痛と思われる痛みのほとんどが前鋸筋の緊張が原因だったりしますので、肩甲骨はがしによって痛みが緩和することもあります。
これまでのお話の様に、肩甲骨は前からや後ろから横からといろんな部位と繋がっている事がわかってきたかと思います。
それと同時にどの筋肉を緩めたいのかでストレッチするための角度や力の強さなど、非常に技術が求められる手技になります。
肩甲骨は本当にはがれているのか?
今や、ほとんどの方が耳にしたことがある「肩甲骨はがし」
骨盤矯正や姿勢矯正なみに当たり前の言葉になってきましたね。
響きはいいし、なんとなく楽になるような気もするので受けてみたくなりますよね。
本当に患者様の状態に合った的確なアプローチが出来るかは施術者次第ですが。
とても大事な事ですが、”肩甲骨は絶対に剥がれない”
というよりも、肩甲骨はすでにはがれています。
そもそも肩甲骨はどこともくっついておりません…
そもそも肩関節自体どこにも繋がっておらず、唯一鎖骨と胸骨で胸鎖関節が繋がっているのみです。
腕の重さが大体4キロほどと言われていますが、その重りを支えている関節は胸鎖関節しかないのです。あとは筋肉でぶら下がっている状態です。
肩関節は進化の過程で自由度を獲得した代わりに、強度が落ちた部分でもありますので脱臼やケガなど問題が多い部位になります。
お電話ありがとうございます、
やまだ鍼灸整体院でございます。